ワルン・ロティ日記4

日々感じたこと、パンとワインに関する最新の話題はたまたグルメ情報など
自由にたのしくつづる日記帳。
業界騒然!さて、何が飛び出すやら。

2017.12.18

年の瀬はワインで飾りましょ

ワインはひとりで味わうのもいいんです、ってか一人で優雅に楽しむお酒かも。 ワインレッスンでお出ししている高級ワインたちは、「こんな味わいがトップのワインなのね・・」と 味覚の奥深さと、「おいしいと言われてる味ってどんもの?」を知っていただくためにはカッコウの場所だと思います。   「なかなか覚えられなくて・・ワインはワカラナイ」って言われることもあるけれど、 「わかる」ものでなくて「感じる」ものだから。     それにいったい世界中にいくつのアイテムのワインがあるんだろう・・ 日本に輸入されているワインだって、百科事典に書ききれないほど。   そのワインのラベルをひとつひとつ覚えるなんて、ムリだし無駄です。   1番いいのは味覚が似ているワインショップの担当さんを見つけ出して 「こんなの飲みたい」って自分の言葉で伝えて選んでもらうこと。   ワインレッスンでお出ししている高価なワインたちは、とても奥深い味わいのものたち。   だからパーティーなんかで、ワイワイ飲んでしまうのはちょっともったいないです。 できたら一人で、じっくり・・じっくり、味の変化を楽しんでみるのがお薦めです。 ひとりのテーブルを美しく演出するのがグランヴァンだと思うんですよね・・。   誰かとご飯を食べていても、ワインの味わいの変化に集中したくなる・・ そしたら、デートにもグランヴァンは必要ないのかも。   お相手がパクパク、グイグイいってたら、ちょっと寂しくなっちゃうかも。   なんて一人で考えてる、クリスマス間近なこの頃。   ちょい地方で昔から知られている老舗のフレンチでのこと。 ブルゴーニュのドメーヌ・ヘルベ・ケルランさんのワインが2800円であったから、 ちょうど2002年にフランスで彼のお家に(お世話になった酒屋さんと一緒の旅で)、招いていただいたこともあって、 「なつかしい・・ケルランさんのワイン。それにお安い・・」と、お願いしたら、   なんとチリのオーガニックワインがでてきて・・。 「これ?違いますよね、ちなみに同じお値段ですか?」って聞いてみたの。 そしたら、このフレンチを30年以上営んできたとみえるシェフが、 「お客様、ピノ・ノワールというのはぶどうの品種でして・・」と。 「でも、リストにはブルゴーニュ、それもケルランの名がありましたよ」ってがんばると、   「・・・」 「このあたりでは、ワインをボトルで頼むお客様なんていなんですよ。ビールばかりで・・ ブイヤベースも頼んでいただきましたが、それも1年に一人か二人ぐらい・・。 いまは、みんな安さばかり求めて、ヤスイものがいいと思ってる人が多くて・・ ワインは酒屋が間違ったのかも知れません・・」と。   なんて悲しいセリフ! でも含蓄の深い、すごく考えさせられることが含まれてるような気がして・・ずっと考えていました。 レストランの棚にはフランス料理全盛期の古典のレシピ本がボロボロになって・・。 だから、お料理もスープやベースがすべてしっかりしていて、出来合いのものを使っていないから、 ささっと作っていただいてもブイヤベースはスープの素の味がしなくて、素朴でおいしい。   ずっと考えていて、ああ・・もしかしたらこちらのシェフは下戸だな・・。お酒を飲めないんだ!と 思い当たりました。たぶん当たってる。でないとチリとブルゴーニュのピノ・ノワールが同じ味なんて言うハズないです。 (おおざっぱに説明するとチリは開けてからどんどん苦みがでてくる。ブルゴーニュは滑らかになる、かな?)   不思議な出来事。出来合いのものばかりの時代で、パリのレストランでも手造りのものを出す店が少なくなってるのだとか。