三島広小路、おそるべし


イル・コッチュートの「ししゃもの燻製」。
三島のかえちゃんの店「田中亭」の後によった店です。
沼津でおいしいイタリアン「イルパリオ」を経営する船木夫妻は
「わたしたちは、いつも食べているから、オオワダさん食べて〜」と、
いってくださったので、
ファランギーナ(イタリアの白の大好きな品種)のワインを開けてもらって(グラスで出してくれました!)
ししゃもと・・。
ここの店主は13年もフィレンチェにいたそうで、帰国してイタリアで一緒だった奥さんと開店したそうです。
ほんとうにイタリアがお好きな様子が、お店にも人柄にも。
パスタは全て手打ち。自前のこだわりソースに合わせて、微妙に変えています。
「わたしも手打ちが大好きだから・・」とイルパリオの船木マダム。
自身の店もおいしいパスタとピッツァをつくるのに、外でも手打ちパスタを好むとは、やっぱり根っからのイタリア好き。
イル・コッチュートの店主から、古典的な質問をいただき、戸惑ってしまいました。
「トスカーナのパンとかは焼けないでしょう〜」って。
わ〜〜〜、以前、「トスカーナで食べてきたパンを焼いて欲しい・・」とメチャ振りの要望をいただいてサンザンだったことを
思い出してしまいました。
トスカーナのパンと言えば、塩が入らない大きなカンパーニュタイプのパン。
基本は地元の天然酵母と粉だけなので、似たようなものを焼くのは実は簡単なのです。
自家製酵母と地粉はいつでもワルン・ロティにあるし、塩は入れない方がパンは膨らみやすいから。
でも、ドイツ帰りの方が「あのドイツのパンを」とか、どこかの国に行って美味しかった体験を「あのパンを焼いて欲しい」と
言われるのは、もう、こりごり。
その方の記憶のパンは、すでにノスタルジー。地元で食べたおいしいものと、ワクワクする旅先の空気感のなかでのパンだから。
たとえばそのドイツのパンだって、そのドイツのそこのパン屋のオリジナルの要素があるのです。
酵母、配合、焼きの道具、焼きの時間、それぞれの職人の見極めの結晶です。
そしてノスタルジーの記憶のパンは美化されていきます。
「ドイツ人のおかあさんが焼いてくれた、あのパンを・・」なんていうともう、お手上げです。
ノスタルジーを再現するわけにはいかないから。
さて、イル・コッチュートの店主の記憶のパンはどんなパンなのでしょう?
「塩なしの田舎パンならいくらでも焼けますよ」、なんて応えちゃったけど・・。
美しい想い出のパンは焼けないから、やっぱり焼かない方がよさそうです・・ね。
小さいけどおいしいものを作ってくれる、イル・コッチュートもお薦めです。三島ですが。
(三島のおいしいものは三島駅の次の駅の三島広小路に集中しているそうです。ほんと、店をはしごする男性陣がウロウロ・・栄えてます)
「こっちはコース仕立てにしても、アラカルトで頼むお客さんがほとんど・・」とイルパリオの船木さん。
食を楽しむことを知ってる人が集まってるのが沼津・三島かも。
畑や海があって、食材の新鮮さと季節が目の前に見える、環境ゆえかもしれませんねえ。